今学びたい100人の学問

Interview | 004限目「桝本博之」学

拠点はシリコンバレー バイオで日米をつなぐ起業家に学んでみた

更新日:2015年4月22日

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Lecture

桝本博之 Masumoto Hiroyuki

B-Bridge International, Inc. CEO
~一緒に考えて楽しもう!~

今回インタビューさせていただいたのは、シリコンバレーで起業し、CEOとして活躍されている桝本博之さんです。
企業のリーダーとしてだけでなく、学生インターンの積極的な受け入れ、大学設立と学生に対する支援をされたり、また、NHKのど自慢のグランドチャンピオンであったりと、人としても大変魅力的な方です。

 

私が初めて桝本さんにお会いしたのは*QREPに参加した時です。
研修期間を通して最も印象に残っていたのが「考えることは必要であるが悩む必要はない」という桝本さんの言葉でした。

「考えることは知識をつければ、何か解決策が出てくる。だから、1+1という問題にもいろんな方法がある。学んだことから2だなってことも、あるいは電卓というものを使ってもできる。考えればできる。でも悩むっていうのは、1ってなんだろうとかね、1+1ってどういう行為かって。知らなければ一生その答えはでてこない。電卓を使うということも知らないから。ここで戸惑っていても仕方ない。ということは、知らないことは知らないと言って教えてもらえばいい。もしくは勉強すればいいこと。それによって考えて結論を導き出す。経験もして考え方を導き出す。だから、僕の人生においては、結果がすぐに出てこないことに関しては、学ぶ考えるのであって悩むことはしない。」

関連URL:http://jp.b-bridge.com/

桝本さんは、大学卒業後、東洋紡に就職。主に海外へ生化学製品を販売する営業マンとして活躍されました。
その経験からコミュニケーション力を上げることができ、その力は今も活かされているそうです。しかし、順調にきた桝本さんの人生にも転機が訪れました。阪神大震災です。



「当時、神戸に住んでいました。地震で家が住めない状態になる中、妊娠していた奥さんがその日に出産しました。周りでたくさんの人が死んでいく姿を見て、家も住めない状況なのに自分のところだけ子どもが一人増えていくというもう『どないしたらええねん』という感じで。」



「そんな中、相変わらず海外に行ったら3か月帰ってこない、子どもがいつハイハイを始めたことなんかを全く見ることができなくて。これでいいのかなと思っていたら、以前からよく海外に行きたいと言っていたのが幸いしたのか、ヘッドハンターから連絡をもらい渡米しました。」

渡米後、最初の4年間はベンチャー企業でインターナショナルマネージャーとして仕事をし、120人従業員が450人まで増えていく環境でした。その経験の中で、もっと他に自分のやりたいことをやりたいと考え、今の会社を立ち上げるに至ったそうです。



「日本とアメリカをつないで日本をもっと活性化させようと思って。それで僕のフィールドがバイオだったので、バイオの研究用資材と情報を日本によりスピーディーにリーズナブルな価格で提供できるようなことをやっていこうと。それで、バイオのブリッジでB-Bridge International という会社にしました。」



その言葉通り、桝本さんは会社の事業を通して、また日本人学生のインターン受け入れ、大学設立を通してシリコンバレーと日本のつながりのために活動されています。このような精力的な活動を軌道に乗せていくには、経営者としての手腕だけでなく、リーダーとしての素質も必要であると思います。桝本さんのリーダーとして、人としての魅力はその経験から培われたもので、私たちが簡単に手に入れることのできるものではありません。しかし、何かその糸口を探ることはできないかと思い、今、大切にしていることを聞いてみました。

一番大切なものはやっぱり自分の人生なので、楽しめるかどうかだと思います。

「一番大切なものはやっぱり自分の人生なので、楽しめるかどうかだと思います。もちろんシビアにやるときはやりますが(笑)
24時間をいかに楽しく過ごすのかということと、24時間を24時間以上のバリューに高めることができる方法は何かということを考えることですね。睡眠時間を減らすとか短い時間で作業を終わらせたりして、他の興味のあることに使える時間を増やすとか、会ってみたい人に会ってみるとか。人よりも多くの経験をしてみる。今までにアルバイトも41種類経験したし、引越しも26回してここ5年で会った人は1万人を超えている。これをさせてくれている家族や従業員にはとても感謝しています。」



最後に、学生へ伝えたいことを聞いてみました。

学生の間にしかできないことをやってください。

睡眠時間を削るのも若いうちのほうがいい(笑)若さゆえにできること、いい意味で学生という肩書を使って入りこむことのできる場所に入り込んでほしい。例えば、今なら『九大の』学生。就職したら『その会社の』人。今なら『学生』が残る。会社の名前があったほうがいいこともあるけど、他の企業に入りこむことはできない。学生ならどこにでも行ける。これは今の特典だと思う。だから、今のうちに海外も含めいろんな場所に行って『学生だから』ということでいろんなところに入りこんでいろんな人に会ってみてほしい。旅行ですね。僕は海外に行くことをお勧めします。」



大学生活も後半に差し掛かり、『学生』という肩書を使える期間も少なくなってきました。今の自分にできること、今しかできないことをしっかり探して、貪欲に、悩まず考えて時間を有意義に使っていきたいと思いました。もちろん、勉強もしっかりします!

004限目「桝本博之」学
Presented by 今学びたい100人の学問

 

編集後記

人生初のインタビューで私が緊張していたため、重くなってしまっていた場の空気を一瞬で和ませてくださり、ありがとうございました。終了後も、参加メンバーの将来についてのアドバイスやそれに関連したお話もしてくださり、桝本さんには感謝してもしきれません。ここにまとめきれなかった内容もありますし、桝本さんには、今回引き出すことのできなかった『引出し』がたくさんあると思います。ぜひ、また機会を設けてお話させていただき、桝本さんからもっとたくさんのことを吸収し、発信していきたいと思います。

2015/4/22
九州大学 深野絢鼓

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