今学びたい100人の学問

Interview | 050限目「七條芙美」学

福岡の文化や面白さを発信 外国人観光客をもてなす女将に学んでみた

更新日:2016年12月25日

この記事をシェアする

Lecture

七條芙美 Fumi Shichijo

SUiTO FUKUOKA 女将
~すべての人は同じように自由~

長崎県という、海が目の前に広がる土地で生まれ育ち、幼いころから海外に憧れていた。高校時代に長期留学を経験し、大学では長期休みを活用して海外旅行を10カ国ほど経験。卒業後は日本語学校の教師、株式会社バリュー・クリエーション・サービスを経て、現在は福岡市中央区今泉にある新しいインバウンドの拠点『SUiTO FUKUOKA』にて女将を務めている。

<SUiTO FUKUOKAとは>
SUiTO FUKUOKAは、『外国人観光客と福岡ローカルがつながる場所』をコンセプトに観光案内所や和風BARを備えており、体験を通じた国際交流を行っている場所です。(下記リンク参照)


今回インタビューさせていただいたのは、七條芙美さん。人と人の縁をつなげるリレーションクリエイターとして、現在、SUiTO FUKUOKAにて女将を務めていらっしゃいます。国際交流や地域活性化に携わってきた七條さんの原点は、どこにあるのでしょうか。050限目の七條さんに迫ります。

関連URL:http://suito.inboundhub.jp/

 

若いときにしかできない

ー学生時代はどんなことをしていましたか?

大学生は2ヶ月程度の長期休みがありますよね。その内の1ヶ月は、アルバイトしてお金を貯めて、残りの1ヶ月はそのお金を使って海外旅行に出かけていました。当時はそれが楽しくて仕方がありませんでした。その旅の中で、一番印象に残っているのは、私の母のルーツであるインドに行ったときです。
全てがカレー味だったり、一生歌って過ごす生きる神様がいたり、牛が駅のホーム堂々と歩いていたり、タクシーに乗っても行きたい場所に連れて行ってもらえなかったり、電車が事故でもないのに数時間遅れたり、予約していた自分の席に毎回違う人が当たり前のように座っていたり・・・。毎日が驚きの連続でした。
当時の私は、世界中に悪い人はいないと本気で思っていたし、怖いものなしだったので、本当に面白い経験を沢山することができました。今考えると、恐ろしいこともありますが、経験してよかったと思えることばかりです。
大きな衝撃と共に、その旅で学んだことは『私の常識を超えることは普通に起こりえるし、世界中には全く想像できない世界が広がっている』ということ。だから若いうちに、いろいろな世界を見るために旅に出ることをお勧めします。旅には学ぶことはたくさんあるはずだから。

やりたいことをひたすら考えた

ー大学卒業後はどういったことを?

大学を卒業後、私は国内外で10年間日本語学校の先生をしていたのですが、『ほかのことに挑戦したいな』と思って退職しました。退職後は『自分にとって何が楽しくて、何なら毎日続けられるのか?』と考え続けていました。
東京で様々な仕事を掛け持ちしながら、30歳にもなって結婚もせず、定職にも就かず……。ひたすら自分の天職探しをしていました。周りの友人はそんな私を変わった人だといい、初対面の人はあからさまに不思議な顔をしていました。
東京ではどんなに他人に迷惑をかけず、人生を楽しんでいようと、会社名と肩書で人間が評価されるんだと痛感しました。
その環境が辛くなり、逃げるように九州へ戻ることを決めました。

ー東京を飛び出た後は?

その後、ある雑誌の記事を読み、これだ!!と決め、バリュー・クリエーション・サービスという観光振興と地域活性のコンサルティングを行っている会社へ直談判し、3年間働かせていただくことになりました。ある過疎の島でアドバイザーとして地元のおじちゃんやおばちゃん達と長期間かけてイベントを作り上げました。実際にそのイベントには島内外から想像以上のお客様が訪れて、島中で盛り上がりました。その時、うれし涙を流す島のおじちゃんやおばちゃん達の姿をみて、『私もアドバイザーではなく当事者として何かを作り上げ、お客様をお迎えしたい』と思いました。『いらっしゃい』とのれんを開けている自分の姿を考えるとワクワクが止まりませんでした。
それから世間話のように『女将になりたいです』と周りの方へ伝えてたところ、今のSUiTO FUKUOKAの社長に出会い、ご縁があって現在ここで女将ができるようになりました。

ーSUiTO FUKUOKAをどんな場所にしていきたいですか?

面白い人達がつながる場にしたいです。私自身『リレーションクリエイター』という世界に私だけの肩書をもっています。
これまで何度も人が繋がり化学反応を起こし、想像を超える価値が生まれる場面に遭遇してきました。だからこそ、SUiTO FUKUOKAが個性豊かな世界中の人々が交わる場所になることを願っています。『リレーションクリエイターを場にしたらこうなりました!』という感じでしょうか。

福岡には、観光客がたくさん来ているのですが、観光する場所があまりないと言われています。ただ観光案内所として観光地を紹介するだけではなく、福岡や日本の面白さを地元の人と触れ合いながら体験して、特別な時間を過ごしてもらいたいです。国際交流を目的にするのではなく、興味など共通している部分がある人と友達になるというのが自然な形だと思っているので、SUiTO FUKUOKAでは皆さんが興味を持ちそうな様々な体験をご用意しています。これからも共通体験を通じて地元の人と旅行者が体験を通じて交わる場づくりを行っていきたいです。

面白いと思うことを突き詰める

ーそんな七條さんが人生の中で貫き通してきた信念とは?

常に自由であることです。学校生活をどう過ごすかは自由です。私は大学3年生のとき、遊びすぎて、4年生のときに苦労したんですけどね。日本人って型に当てはめがちなところがあって、意外とみんな『やらされている』と感じている人が多いと思っています。だけど『自由なんだ!』って思うと本当にやりたいことを探すようになるし、今置かれている現状も自分が自由に選択した責任だと考えられるようになりますね。私はそういったことを旅で学んできましたね。

ー最後に学生にメッセージをお願いします!

面白いと思うことをただただ突き詰めてほしいです。学生のときにしかできないことって必ずあるはずです。私にとってのそれは、長期間旅に出ることでした。面白いと思うことは、人それぞれでなんでもいいと思います。例えば、納豆が好きすぎて、スーパーにある納豆の美味しさを追求してみるとか・・・。そういった自分が面白いと思うことを、本気で突き詰めて考え抜くと癖がついて、自分なりの楽しみ方を知ることができるんです。それは社会人になったときにすごく役に立ちます。実際、仕事って面白く無いことも多いです。でも、それをいかに楽しめるか。楽しんだもの勝ちですよ!!

050限目「七條芙美」学
Presented by 今学びたい100人の学問

 

編集後記

自分にとって何を続けることができるのかをひたすら考え、現在『SUiTO FUKUOKA』にて女将をされている七條さん。今回のインタビューでは学生時代の旅の話から現在の活動まで幅広く語っていただきました!自分は自由に選択できるということ、面白いと思うことをただただやり切るということ、この二点はこれから将来をどうしていくべきか悩んでいる私にとって非常に印象に残りました。私にとっては今ゲストハウスが非常に面白いと思っているので、今はそれをひたすら追いかけ続けていきたいです!

2016/07/25
九州大学 浅田悠紀寛

この記事をシェアする

関連記事はコチラ

058限目「野田遥」学

1989年生まれ 山口県出身 農業職で福岡県庁に勤められている野田さん。 学生が取材という形で企業に訪問し、企業取材と記事作成を通じて、中小企業ならではの魅力に気づくことのできる...

2017/04/17

030限目「土屋有」学

今回インタビューさせていただいたのは、土屋有さん。『インターネットマーケティング』を武器にこれまで様々な組織で活躍されてきたそうです。 ベンチャー企業を複数経験し、スタートアップか...

2016/11/24

015限目 「松本弘介」学 

日本最大級の社長紹介ポータルサイト『福岡の社長TV』の運営し、創業当時5名だった会社を約4年で従業員120人の社員を持つほどまでに成長させ、社長室室長も務めていた。 自ら立ち上げた『晩...

2015/09/13