Interview | 067限目「呉清源」学
上海から来日したサバイバーにチャレンジ精神を学んでみた
更新日:2017年12月3日
Lecture
呉清源 Wu Qingyuan
九州大学大学院経済学府産業マネジメント専攻 QBS学生会会長
~Scientia est potentia Knowledge is power.~
1990年生まれ 上海市出身
上海の高校を卒業後、来日。立命館APU,立命館大学に進学。卒業後、豊田通商に3年間勤務し、自動車部品の輸入・販売に携わる。その後、九州大学大学院経済学府に入学。さらに経済産業省が企画する「国際化促進インターンシップ事業」に参加し、北九州にあるエアーテックという会社でインターンシップを行っているなど、将来のキャリアのために奮闘中。
挑戦し続けてきた人生
―今までの経歴を教えてください
僕は上海の高校を卒業して、そのまま日本の大学にストレートで入りました。普通、留学生は初めに語学学校に行くんですけど、僕は行かずに京都の立命館大学にて交換留学し、大分の立命館APUで卒業しました。そして、大学を卒業した後は総合商社で三年ほど勤めました。そこでは、カーナビの部品を海外から輸入して国内のメーカーに販売するといった一連の仕事をしていました。商社で働く中で、大企業の中の学閥というものを実感し、なかなか昇進できないという状況でした。それを打破するためにキャリアアップをしようと思い九大の経済学府に入りました。経済学府では、会計や人事労務、経営、マーケテイングなど、ビジネスにかかわることを学んでいます。
―これからの展望を教えてください
前に働いていた会社の上司に、卒業したら戻って来いよ!など有難く言われていますが、人生は40年くらいしか働けないですし、商社で働いていると仕事の流れもわかってきましたので、覚えた知識を使って挑戦してみたいですね。例えば、金融業界とかメーカー・製造業で働いてみたいと思っています。
―大学と大学院の違いはなんですか?
僕は大学時代、経営学部に通っていました。そこでは、経営全般を広く触る程度に学ぶというイメージでした。でも、大学院になると、ひとつひとつの分野にフォーカスして、細かく深くまで研究していくっていうイメージですね。大学院のゼミでは一つ分野を決め、できれば金融について深く研究していきたいです。
上海から日本へ
―呉さんのモットーを教えてください
僕にはちょっと変わっているモットーがあります。というのも、難しい道と簡単な道なら必ず難しい道を選ぶというものです。難しい道を選んで進んでいくと、思いもよらない収穫やメリットが見えてきたりしますし、運もついてくる気がするんです。例えば、大学進学の時、僕には上海の大学に通う道もありました。でも、自分にとって未知の国である日本に行ってみるのも面白いと思ったので、日本に進学しました。卒業した後にも、上海に帰るか、日本でやってみるかの分かれ道があって、日本で働くことを選びました。
僕は面白いことが好きで、会社でただ働いて徐々に昇進していくのもいいのですが、一味が足りなくて、九大に進学しました。そこでも、ただ勉強に専念するのもつまらないと思ったので、立候補してQBS(九州大学ビジネススクール)の学生会長をしています。
―呉さんは複数の言語を話せるそうですが、どうして様々な言語を学ぶのですか?
例えば、一つのトピックに対して、日本語で書かれている本だとA観点がある、英語だとB観点、中国語だとC観点…みたいに、言語ごとに観点が違うことがあるんですよ。ABCを総合してみて、視野を広く中立の立場で物事を見ることができます。これって、すごいメリットで、新しいアイデアが浮かんできたり、中立の立場で考えることができるんですよ。
僕が語学を勉強するときにお勧めの方法があります。それは、耳を慣れさせることです。目覚めたらすぐに、なんでもいいから海外のニュースを聞くことです。ひたすら聞いてください。
海外と日本の違いとは
―海外(上海)と日本の学生の違いを教えてください
上海の学生のほうが目標がしっかりしてます。1、2年生のときから、私は将来こういう仕事がしたいからこの業界に入りたいっていうのが、上海の学生ははっきりしているんですよ。それに向けて、そればっかりを勉強する。
でも、日本の学生は1、2年生のころから就活の話をしないでしょう?それは企業が新卒採用という採用のスタイルをとるので、学生には自分が将来何をするかっていうのが具体的に見えてこない。だから、しょうがないことだと思います。でも、僕は、1、2年生のころから就活をするのを早いとは思いません。就活は準備が70%だと思います。
―就活の差はありますか?
日本は年功序列型で社員が辞めない前提で、いろんな部署を異動しながら、能力のある人を引っ張っていくていうスタイルですよね。
上海の就活はアメリカ式で、まずインターンとして企業で働きます。そして、パフォーマンスが良ければそのまま採用っていうスタイルなんですよ。例えば、「君はなにやりたい?」「マーケテイングがやりたいです。」「じゃあやってみろ。」そんな感じです。できたら昇進、ダメだったらクビという、完全実力社会です。だから、給料の差も激しいです。20代で2000万円もらっているひともいれば、40代で300万円前後の人も居たりとか。
日本は年功序列、上海などの外国は完全実力社会といった差がありますね。
日本の学生へ
―呉さんの夢はなんですか?
僕はいろんな変なことをしてきましたが、不思議なことで困った時はいつも誰かが助けてくれました。そこで、我々人間は生きている上で誰かのために何かを成し遂げる役目があるんだという神様からのメッセージだと受け取りました。だから、自分を含め周りのみんなを幸せにしたいですね。
―学生に伝えたいことをお願いします。
仕事を夢にする人が多いと思いますが、仕事は夢をかなえるための手段だと思っています。夢がある人は夢を全力で頑張ってください!夢がない人は問題ですね。だから、夢を見つけるためにも、何事にも挑戦することが大事だと思います。経験は点から線へ、面へとなります。それに今の世の中を考えると、日本はもっと頑張らないと、ほかの国に負けてしまう状態だと思います。現状に満足せずに上を目指してください。
067限目「呉清源」学
Presented by 今学びたい100人の学問
編集後記
武道に精通していて、とても活発な呉さん。力強い握手が印象的でした。それに加えて、日本と海外の違いをとても詳しく教えていただきました。呉さんの話を聞いて、日本の学生が抱える問題点やいまするべきことが見えてきました。僕も呉さんのように、何事にも挑戦して力強く生きていきたいです!ありがとうございました!
2017/11/22
九州産業大学 仲道素生
関連記事はコチラ
016限目 「坂本剛」学
「無駄なことは何もなかった。今振り返ると全部つながっていた。」 福岡の観光地である福岡タワー、ヤフオク!ドームが立ち並ぶ百道浜。その百道浜に今回伺ったQBキャピタル合同会社のオフィ...
064限目「小島淳」学
1976年生まれ 千葉県柏市出身 学生時代はハードコアバンド「ヌンチャク」のベースとして、全国ツアーをしていたほどバンドに打ち込む。東日本大震災をきっかけに東京から福岡にIターン移住を...
74限目「SASSEN」学
福岡県北九州市出身 大学卒業後は一般就職し、その後次世代デジタルチャンバラ「SASSEN」を生み出す。現在は株式会社SATSUZENの代表取締役兼全日本サッセン協会代表。...