Interview | 065限目「平山哲生」学
小麦アレルギーなのにパン屋さん!? 福岡No.1の人気パン屋の店長に学んでみた
更新日:2017年10月23日
Lecture
平山哲生 Tetsuo Hirayama
Painstock店長
まじめに、じみちに、コツコツと。
福岡市箱崎のパン屋Pain stock店長。
福岡県で育ち、福岡大学に進学。大学時代にパン屋でアルバイトをしたのがきっかけでパン屋に就職。パン作りの修行で東京、パリへ。帰国後Pain stockを開業。人気の明太フランスはいきなり黄金伝説など数々のメディアで取り上げられている。
Pain stockを開業した想い、多くの人が夢見るが途中で諦める人の割合が多いパン屋という職業。そんなパン屋をゼロからスタートさせ、ここまで人気店にできたワケなど今回は、人気パン屋の店長に迫ります!
関連URL:https://www.facebook.com/painstock.fuk/
餅もパンも同じ粉
現在はパンストックの店長をされていますが、もともとパンに興味があったんですか?
無かったです。(笑)
基本的に皆さんと同じ大学生の時は「何をやっていいかわからない」と思ってました。
やったことがないから、わからないのが当たり前。
きっかけは、高校時代から4年間、梅が枝餅をこねるバイトをしていて、同じ粉だからパン屋も行けるかなと思ってパン屋のバイトを始めてみました。
当時、建築の学校に夜間で通っていて、そこで資格取るまでパン屋でバイトしようと思って始めたのがきっかけです。異端ですよね(笑)
パン屋になりたいと思ってパン屋になったんじゃなくて、成り行きでパン屋になりました。
そこで出会った店長が良い職人さんで、この人みたいになりたいと思い、そのまま正社員になりました。
その店長は、他のパン屋からスカウトが来ることもあり、頼られる、求められる人でした。
最初の面接の時は金髪で、「早起きが苦手なので朝晩は嫌です」とか言ってました。(笑)
5時からの遅番もあるから大丈夫だよ~って言われて入ったんですけど、5カ月くらいたって、朝晩に回されて「人生甘くねえな」って思いましたね(笑)
それくらいの時期にバイトから正社員になりました。
将来の夢が無い学生も多いと思いますが、平山さんはどのように見つけましたか?
正直なところ、将来の夢がある学生とか見るとすげえなって思います。やったことないのに
これを将来やりたい!と思うのは難しいから。僕の場合は、まずは一歩踏み出して何かやってみて、そこで働いている先輩に憧れて、その先輩みたいになるために自分のやるべきことを突き詰める、という感じでした。
「何の仕事したいかわからない。そこで目標とする人に会えたら運命」って感じです。
だからこそ逆に、最初の仕事は、何でもいいと思います。誰と出会うかが大事だから。例えば、セメントを練る仕事でも、「セメントにはこの砂が一番いいんだよな」と、熱く語っている先輩がいるかが大事です。
目の前のことをやりながら夢はできていくものだと思います。
まずバイト先のナガタパンの店長になりたいって思って店長になったし、なったらフランスのパンを見たいと思ってフランスに行って修行したし、フランスのパンを東京で作りたいと思って東京に行って、今まで学んだことを発揮する場所が欲しいと思ってPainstockを作った。
やりながら夢ができていきました。
活かされている幼少期の経験
どういう学生でしたか?
生まれた時、体が小さくて、小麦アレルギーがあったり、コーラとかも飲んだことが
ありませんでした。その経験もあってか、弱い人の立場が分かるような子でした。その経験もあって、Painstockでは、できるだけ小麦アレルギーの人でも食べやすいパンも開発しました。
しかし、その一方で負けん気も強かったですね。体が弱いとなめられるから(笑)軽くヤンキーでファンキーでした(笑)
中学校がものすごく荒れていたんですけど、「ガラは悪いけど、マナーは良い」をモットーに、なんとか1割のまじめな生徒のほうにいましたね。9割のほうにいたら今の自分はいないような気がします(笑)
大学時代も髪は金髪でバイクと古着が好きなファンキー系の学生だったんですけど、授業中にしゃべっている人がいたら教室から追い出したりしていました。「お前ら授業中にうるせえ、出ていけ」って。そしたら場がシーンとなって、先生まで引いてました。(笑)
後は名前の通り、哲学的なことを考えるのも好きでしたね。
友達と「どっちが辛いか選手権」
これまで貫いてきた信念はありますか?
「迷ったら、少しきついほうを選ぶ」です。
AかBかという選択で迷ったら、Bestな選択はわからないけどBetterかなという選択をするようにしています。
ここでいうBetterは少しリスクがあるけどリターンもあり、かつ継続可能であるということです。結果がすぐ出るようなことでは人間はあまり成長はしないと思っていて、頑張っても頑張っても成果がなかなか出ないようなことのほうが「魂の修行」ができると思っています。
きっかけは、大学時代にあった友人と「どっちがきついか選手権」をしたことです。(笑)
例えば、3日間徹夜したり、福岡ー鹿児島間をバイクで休憩なしで往復するとかやってましたね。(笑)お互い、少しきついほうが自慢できるし、そうやって一歩踏み出すことで見える世界があるということに気づきました。
後は、アメリカに行っていた幼馴染と10年ぶりに再会したときに、彼がオリンピックの選手を目指していました。
「無理じゃない?」と言った時に「誰でも可能性はあるよ。諦めた時点でできなくなる。」と言われてハッとしましたね。
リミッターを自分でかけちゃいけないんだって。そこからパンの世界で1番になろうと決心して今まで走り続けています。
じみちに、まじめに、コツコツと。
学生にひとことお願いします。
「体力をつけろ。体が資本」です。
学生時代は才能があればすぐに結果をだせるけど、社会人になると才能+継続力が大事です。才能があれば短期的には成功できるけど、長期的なスパンで見ると継続力のあるほうが成功するように思っています。
「死んだ時にどうなっているかが勝負」です。
その為にも「じみちに、まじめに、コツコツと。」目の前のことをこなして、その度に新しい目標を1つ1つ見つけていってください。
リミッターをかけずに短いスパンでノルマをつけていく。心の修行はきついですけど、死ぬ頃が勝負です。アホみたいなことをしつつも、基礎をしっかりこなし、体力をつけていってください。
065限目「平山哲生」学
Presented by 今学びたい100人の学問
編集後記
誰しもが一度は憧れたことのあるパン屋さんの店長なので、昔からパンに興味があったのかと思いきや、バイトをしていた梅が枝餅と同じ粉類だからやってみたと仰っていたのが衝撃でした。淡々とお話しながらも奥底には熱い気持ちを秘めていらっしゃった平山さん。素敵でした!!
明太フランスの誕生秘話も聞けて楽しかったです!
今回はインタビューを引き受けてくださり、誠にありがとうございました。
2017/06/02
九州大学 永田清来
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