Interview | 033限目「加藤翼」学
自分の感覚を大切に 国際協力をテーマに掲げるマルチコミュニティデザイナーに学んでみた
更新日:2016年11月24日
Lecture
加藤翼 Tsubasa Kato
Multi-Community Designer
〜目の前の人を大切に〜
加藤翼 Kato Tsubasa
1990年生まれ。千葉県出身。25歳。
Earnex Lab Tokyo代表。Business×Design×Philosophy×Technologyと様々な分野のコミュニティデザインがライフワーク。学生時代に国際協力の分野における学生団体のプラットフォームを創設。その後JICA、外務省、世銀、国連との協力を重ね、2012年 IMF・世界銀行年次総会、2013年 TICAD V(アフリカ開発会議)、One Young World Summitなどで日本ユース代表を歴任し、ユースからの提言活動を実施。他、計9カ国で国際開発案件、IT案件、スタートアップ案件を取り扱う。その後Boston Universityへの留学を挟んで卒業後、外資系コンサルティング会社へ入社。1年目からアメリカ、タイに駐在し海外プロジェクトを担当。現在は通信制の美大にも通いながらコンサルティングワークと自身の団体運営を両立する、パラレルキャリアのエバンジェリスト。
今回、お話を伺ったのは、加藤翼さん。
現在は外資系コンサルファームで働いていて、今年が2年目の年になる。学生時代から『国際』というキーワードで活動されていた加藤さん。国際会議の日本代表としても多くの場で活躍してきた加藤さんの原点とモチベーションはなんだろう。
033限目に迫りたいと思う。
初めて“おもしろい”と感じた
—学生時代はどのような活動をしていましたか?
「たくさんやってました(笑)。
主には『留学リノベーターズ』という留学支援や国際協力の学生プラットフォーム作り(現:UYIC-全国国際協力学生団体連盟)、あとは『アフリカ開発会議』の学生プロジェクト事務局長などの、国際会議の日本代表として活動していました。大学4年生の時には、ボストン大学に交換留学で行ってました。多くの活動をしていましたが、“国際協力”というキーワード、そしてそれを達成するための“プラットフォーム作り”を中心にやっていました。」
—なぜそのような活動をしようと思ったのですか?
「大学2年生の時に、インドに5週間のインターンに参加したことが一番のきっかけだったかもしれません。1年生の時に国際ボランティア活動をすることがあって、それまでは僕自身は人に興味がなかった人間だったのですが、初めて活動している先輩とかをみて“おもしろい”と思いました。一方で、ボランティア活動は偽善者扱いされることも多く、そこに疑問や悔しさを感じてました。もっとボランティア活動する人たちの価値を分かってほしい。そんな思いから自分で海外インターンを探し、50くらいのNGO団体にインターンをしたい旨を送りまくりました。」
“国際協力の現場では自分は何の役にも立たない”
—インドのインターンで何が一番加藤さんを変えましたか?
「国際協力、国際ボランティアに興味があって現地を自分の目で観察したんですが、一番感じたことは、“国際協力の現場では自分は何の役にも立たない”ことでした。自分の価値は全くない、と。現地で起きていた児童労働の姿とか複雑な親子の関係とか、考えさせられることはたくさんありました。帰国後、自分に何ができるのかを考えた時に、自分は一歩引いて、間接的な支援ならできるのではないかと思い、国際会議などの場に積極的に参加するようになりました。」
哲学との出会いが大きかった
−これまでの活動の中で苦しかったことはありますか?
「だんだんときついことを楽しめるようになりました(笑)。ラスボスがでてきたぞ!みたいな(笑)。
これまで大きな失敗はありませんでしたが、僕自身の基準でだめなことはいくらでもありました。どれだけ一つのプロジェクトに自分の価値を発揮できてるか、と考えた時に反省することは毎回です。あと、苦しかったと言えば、学生団体の合同新歓を当時、東京では初めて開催したのですが、それが赤字で苦しかったです(笑)。結果、110団体くらい集まり、参加者は1000人くらいでした。赤字ではない方向で、小規模にすることも考えたのですが、挑戦する道を選んでしまいました(笑)。」
—昔から様々な活動をするような積極的な性格だったのですか?
「いえいえ。小さい時は、人とコミュニケーションをとるのが苦手な人間でした。小学生の時は、音読をみんなの前でするだけで緊張してました…。高校の時も休み時間は参考書などを読んでるような学生だったので、当時の女子からは“話しちゃいけない子”として見られてました(笑)。
ただ、哲学という学問に出会い、“自分の人生とは?”ということを考え出した時に、今という時間やいる場所で純粋に楽しみたいと思うようになり、活動をするようになりました。」
自分の感覚を大切にしてほしい
—これまでの活動での軸やこだわりはありますか?
「僕はマイペースな性格を大事にしています。他人の軸よりも自分の軸や感覚を大切に自然体でいることを心がけています。社会の一件良さそうに見える波に流されそうになることもあるけれど、自然体でいることが一番自分のバリューを発揮できるので流されないようにしてます。
また、“目の前の人を大切にする”ことも心がけています。誰かと出会えているということは、逆を言えば、誰かと出会えていないということでもありますよね。“選択”の話も同じで、人生で取れる選択肢も限られています。なので、取れた選択肢の中でどれだけ力を発揮できるかってとても大事だと思います。」
—最後に学生に伝えたいことをお願いします。
「自分の感覚を大切にしてください。
今の世の中、利益や理性が先行してしまう時代です。そんな中でも、僕が大切にしてほしいと思うことが、自分が好きだと感じることや、やってみたいと感じることです。その純粋な感覚を大切にして欲しい。そのためにも、自分の好きなことってなんだろう、と自分自身を見つめて、感覚を突き詰めることを大学生のうちにやっておいてほしいと思います。」
033限目「加藤翼」学
Presented by 今学びたい100人の学問
編集後記
今回はスカイプでの取材となりましたが、加藤さんは主に東京にいらっしゃるそうなので、興味のある学生の方はぜひチェックしてみてください!
2016/6/1
九州大学 松口健司
関連記事はコチラ
028限目 「壇健太郎」学
現在、インドネシアと日本で活動をしており、人材関連、海外進出支援の仕事をしている壇さん。 また、学生時代に起業し、その後、設立したNPO法人での「アジア」経験を活かし、日本企業のグ...
007限目「山田真一郎」学
「九州の学生!もっと自信を持とう!!」 九州を盛り上げるために自分の犠牲は惜しまない。 これまでに会ってきた学生は約5000人、個別に面談した学生は700人と、学生のころから九州...
060限目「木綿達史」学
1973年 石川生まれ。1997年 KOO-KI 共同設立。 CM/MV/ゲームオープニング/番組パッケージ/サイネージなど、映像全般をディレクション。 代表作は、WONDA 金の微...