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Interview | 058限目「野田遥」学

農業のオモシロさとその先へ 人生を劇のように生きたい公務員に学んでみた

更新日:2017年4月17日

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Lecture

野田遥 Haruka Noda

福岡県庁
~人生を劇のように生きる~

1989年生まれ 山口県出身
農業職で福岡県庁に勤められている野田さん。

学生が取材という形で企業に訪問し、企業取材と記事作成を通じて、中小企業ならではの魅力に気づくことのできる中期プロジェクト型インターンシップ、キャリアスクーププロジェクト(キャリスク)の第3期社会人メンター。

「デスクワーク」「安定している」と思われがちな公務員という職のイメージを、インタビューを通してガラリと変えてくれた野田さんの働き方や生き方について、今回は迫っていこうと思います。

関連URL:http://www.pref.fukuoka.lg.jp/

 

なんのために働くのか

―どのようなお仕事をされていますか?

福岡県庁で公務員として働いています。社会人1~3年目のときは本庁で働いていました。

現在は出先機関に異動し、農家さんに農業に関する情報を提供したり、農業技術の指導を行ったり、『今はトマトを作っているけど他に良い作物は何かないか』や『農業を今後つづけていくか悩んでいる』といった相談にものるような仕事をしています。

私達の役割は、大きな観点から言うと『農業をどうやって維持、振興していこうかということ』を念頭に、小さな観点から言うと『そのために誰とどう関わり、幸せになってもらうか』を考えながら、農家さんをサポートすることです。

農家さんに寄り添いながら、一緒に考え、サポートをしていく、というのが理想の働き方なのですが、今はまだまだ出来ないことだらけですね。

―なぜ公務員という仕事に就こうと思ったのですか?

私、実は民間企業の就活をしているんですよ。大学生のときに公務員講座を取っていたのですが『県しか見ていない仕事はイヤだ!』『全国や世界を見ている企業がカッコイイ!』という思いがありました。

実際に、営業職を中心に就活をしていて、食品メーカーの内定をもらったのですが、いざよく考えたときに『取引先の方に「野田さんだから取引するんだよ」と言われる関係を築く目標はある。けどその先で何がしたいかなにも思い浮かばないな。』と思ったんです。

そこで、何がしたいかを考えたときに、元々農学を勉強していたこともあって『農学のことを研究しても楽しいし、先輩と話すことも楽しい。外のフィールドワークをしても楽しいな。』と感じたんですよ。

就活を通じて、「企業で一つのことに専念するより、様々な面から農業をサポートできる公務員のほうがいいな」、そう思うようになって公務員を選びました。

―そんな公務員の仕事は「安定している」というイメージが強いのですが、実際のところどうなのでしょうか?

やはり安定志向の方が多いかなと感じられます。

事務職の方だと、色々とローテーションがあって、同じ分野でずっと働くというのはかなり珍しいですね。例えば、最初は保健医療で、次は農林水産。税務にいったと思ったらスポーツ振興にいった、なんてことがよくありますね。

オモシロイにアンテナを張る

―自身の経験や過去のことで今の自分に影響を与えていることはありますか?

もともと活動的で、表に出たり人前でなにかしたりするのが好きだったのもあり、中学校では運動会の副団長、高校では文化祭の実行委員をやっていました。高校生に戻れるならチアリーダーをやりたかったです。(笑) 

親との仲はよかったのですが、小学生のころから「獣医になりたい」と言ってきたこともあってか「それはやめときなさい。あなたには向いてないから。獣医になりたいなら、そんなに色々なことはできないよ」と心配され、親との仲がよかったゆえに『やっぱり私にはできないのか』と感じて、がむしゃらになんとかやる、ということをしてこなかったんですよね。

そのせいか、大学生になり、一人暮らしを始めてからも、やれる範囲でやりたいことをして過ごしていました。そんな大学生活が終わる間際に沢山の『オモシロイ大人』に出会うようになったんです。みんな、すごく楽しそうに社会人生活を過ごしているように見え、『なんでこの人達はこんなにキラキラしてるんだろう……?』と考え始めました 。考え続けた結果、自分のやりたいことに忠実に向き合い、がむしゃらにやっているからキラキラしているんだという結論に至り、『自分もこんな大人になりたい!』と感じるようになりました。それからは、『やりたいことは全部やる。』とスタンスに変わりましたね。

『オモシロイ』というものにアンテナを張っていくと『オモシロイ大人』の働き方や生き方が見えてきます。公務員の仕事をし始めてからもそうです。

『オモシロイ大人』に出会い続け、「やりたこと」を考え続けた結果、自分自身、今の職場でやりたいことってたくさんあるなっていう考えに行き着きましたね。

自分の道は自分で切り開く

―働き始めてから今のご自身の価値観に影響を与えた出来事はありますか?

出来事としては、働きだしてご縁があった『オモシロイ大人』の方から声を掛けていただいたキャリスクという学生向けの中期プロジェクト型インターンシップに参加したことです。社会人2年目の時に社会人メンターとして参加しました。

2年目で仕事が忙しく、お断りするつもりだったのですが、面白そうな内容だったので話だけでも聞きたいと思い、キャリスクのことについて説明をしてもらいました。話を聞いているうちに、やりたいという気持ちが強くなり結局、『やろう!』と決断しちゃいました。

そのときによくあるフレーズで『自分の道は自分で切り開く』というものに近い感覚を得ました。『あ、いま自分の道を自分で選択したんだな』という感覚の怖さとわくわく。でもそれが、結果的にいい方向に繋がって、学生からもいっぱい学ぶことがありましたね。

社会人になると100%でぶつかっても必ず返ってくるとは限らない。そうなるとぶつかり方を忘れるんですよね。ただキャリスクは100%で学生にぶつかると100%で返ってくるので、さらにこっちも返さないといけない。その体験自体が自分のなかですごくタメになりました。

自分で道を選択した、100%でぶつかるという感覚を味わった、という体験を通した学びが、今の自分の仕事に対する考え方や姿勢をさらに変えましたね。

―働くうえで心がけていることはなんですか?

『謙虚に素直に口だけにならない』ということです。何歳になっても謙虚でいる人ってすごいなと思います。

一緒にやっていこうというときに『この場では対等だよね』と同じ目線に合わせてくれる。そして『今日の話、自分もすごく考えさせられたよ〜。』と素直に言える方がすごいなと感じます。

でも、たった一人の人がすごいなというわけではなく、『バリバリ頑張っていてカッコイイ人だな』とか、『出会った人はみんな、何かご縁があるんだ、という温かい考えを持っている素敵な人だな』とか、いろんな人のいろんな部分に魅力を感じていて、この人のこの部分、あの人のあの部分を少しずつ吸収できたらなと思っています。

人生を劇のように生きていく

―最後に学生へメッセージをどうぞ!

私の好きな本に「楽しい劇だろうと、悲しい劇だろうと、平凡な劇だろうと、劇のない人生にしあわせなんかありませんよ。」というフレーズがあります。その言葉に出会ってからは、『人生を劇のように生きていきたい』と思っています。

私が今勤めている県庁が、今の私の踊る舞台で、今はどうやって人生の中の20代という章を演じるか。その中で疲れたときは、『疲れているシーンなんだ』『悩んでいるシーンなんだ』と感じた上で、今は『とことん悩もう』『とことんダメであっていい』と思っています。そんな風に自分の人生を考えながら生きるってなんだか楽しいと思いません?

あとは、一瞬一瞬を「選ぶ」という感覚を持って欲しいです。今日の晩御飯でもいいです。「洋食、和食?」みたいに少し問いかけて、周りに流されるのではなく『選んでいる』という感覚を持ってほしい。ぜひ、『学生だからこその時間』を過ごして貰いたいなと思います。

058限目「野田遥」学
Presented by 今学びたい100人の学問

 

編集後記

今回インタビューさせていただいた野田さんは公務員のお仕事で、やりたいことや自分の目標を持って仕事をされていることがとても印象的でした。

正直、僕のなかでは公務員といえば「安定志向」が強く、どことなくチャレンジするという機会に恵まれなかったり、平坦な道を進んでいくというイメージがありました。

しかし、野田さんのお話を聞いていくうちに、野田さん自身がおっしゃっていた「おもしろい」というワードが野田さん自身から感じられ、インタビューが終わった後には感覚的にこの人すごいなぁと思っていました。

今回は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!

今後ともよろしくお願いします。

久留米大学 福中明成
2017/2/23

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