Interview | 061限目「田口一成」学
大切なのは、強い意志 世界を助けるプラットフォームカンパニーの社長に学んでみた
更新日:2017年5月22日
Lecture
田口 一成 Kazunari Taguchi
株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役社長
~モヤモヤを大切に~
今回取材させていただいたのは、社会起業家の田口一成さん。株式会社ボーダレス・ジャパンの代表取締役社長であり、ソーシャルビジネスのプラットフォームカンパニーとして、社会に不可欠な存在となることを目指されています。社会のためになることを第一に考えている田口さんが、外国の地で何を感じたのか。061限目に迫りたいと思います。
関連URL:https://www.borderless-japan.com/
大切なのは、強い意志
―現在はどんな活動をされているのでしょうか
「現在は株式会社ボーダレス・ジャパンを創業して、社会的な課題をビジネスというアプローチから解決していく事業をしています。1つ1つの事業ごとに社長がいて、僕はそのグループ代表として新規事業立ち上げサポートや経営戦略などの観点から事業社長たちをバックアップしています。」
―具体的な事業例を教えてください!!
「“ビジネスレザーファクトリー”と呼ばれるブランドが、福岡では身近な事業例の1つですね。バングラデシュに工場を作って、現地で作った革製品を日本で売っています。現地の人たちに仕事がない状況を改善するために、現地に工場を建てて直接バングラデシュの人たちを雇っています。いい労働環境を提供して人々が幸せになってくれたらという思いです。“ビジネスレザーファクトリー”は現在、全国7店舗を展開していて、福岡の天神地下街や東京、神奈川、名古屋、大阪、熊本に直営店があります。」
―社長になるまでの過程はなんですか?
「ボーダレスは社会問題を解決するソーシャルビジネスしかやらないですが、逆に言えばソーシャルビジネスであれば何でもやる。やりたいと思えば、自分で事業計画書を書いて提出して、その案がグループ会社の社長で構成させる社長会で承認されれば事業化されます。社内起業ではなく、グループ会社として独立した株式会社をつくって、自らその社長に就任します。
知識と経験を得てから起業するのもいいですが、ソーシャルビジネスのような社会課題に向き合う事業は時間との戦いです。今この瞬間にも困っている人がいる。だから、なるべく早く取り組み始めたい。だから、新卒入社後1-2年で事業を始める人がうちにはたくさんいます。所詮、起業家は起業という経験の中で勉強するのが一番成長すると思います。結局は、この社会課題を解決したい、成し遂げたいという強い意志が一番大切ですね。」
どうでもいいことには食いつかない
―大学生時代はどのような生活を?
「大学に入ったころは、将来のことは全然考えてなかったんですよ。どうせなら面白くてでっかいことやろうとだけ思ってました。ただそれぐらいしか思ってませんでした。それでも具体的にやることは見つからなくて、遊んでました。(笑)その中で、1年生の終わりか2年生の時にアフリカなど貧しい国の生活をTVで見て、『あ、これだ!これから自分の人生をかけられる。』と思ったんですよ。それは別に突然思い立ったとかではなくて、やることが見つかってない中でも自分のやるべきことをずっと探し続けていたからだと思います。自分にとってどうでもいいことに食いつくつもりはなかったです。周りの友達がよく、英会話習おうとか資格取ろうとか言うじゃないですか。そういうことはどうでもいいと思っていて、そんな無駄な時間過ごすくらいなら、とボーっとしてましたね。だからこそ当時は、自分の状況に危機感を持てていて、こんな事じゃだめだと思えていたからただのTV番組に食いつくことができたんです。」
―それから現在の活動に至る経緯を教えてください!
「それからはビジネスを勉強しようと、日本の大学を1年間休学してアメリカに留学しました。帰国後は、貧しいお茶の生産者を助けたいと、貧しい農家からフェアトレードしたTEAを扱うカフェで起業を考えました。そのときに投資家から、『貧困農家から購入するのは後にして、まずは安定的に質の良いものを調達できる商社から買ったほうがいい』と言われたんですね。今考えるとそのアドバイスには一理あると分かるんですが、当時はどうしても納得できなかったんです。また一方で、自分のほうが正しいという確信を持つこともできなかったですね。そんな状況で、このままカフェをやっても、数店舗やるだけで小さく終わっちゃうなと思いました。それはいかんなと思って、いったん就職することに決めたんです。就職は勉強のつもりだけだったので、広く経営全般がわかる会社を受けました。会社にも「自分は3年でやめて起業する」と伝えて入社しました。そして、25歳の時にこのボーダレス・ジャパンを起業しました。」
自分がやりたいようにやればいい
―学生に向けてメッセージをお願いします!
「自分がほんとにやりたいこと、面白いと思えることをするべきだと思います。学生の間に、自分が本当にやりたいことを見つけられたら、最高ですね。必要もないのに資格をとってみたりする必要はないんです。少しでも自分が関心のあることにはとにかくアクションを起こしてみる。そうやって行動していると、そのうち“これだ!”っていう自分が人生をかけてやりたいことが見つかるはずです。
ビジネスコンテストに出たり、インターンシップをしたり、あまり自分を忙しくさせないこと。朝から晩までびっしり予定を詰め込んで頑張った気になってはいけません。何にもない時間こそが自分を成長させてくれます。本当に自分は何をやりたいのか、それを模索する旅が人生です。名前の知れた会社に入ることや、高い給料を得るのが人生の目的ではありません。周りに流されず、自分と向き合う時間をしっかりつくってください!そして、行動・行動・行動。実際に自分で見聞きすることで、自分がやりたいことが必ず見つかります。やりたいことが決まった人間は強いですよ!
そして、“人生をかけてこの社会問題を解決したい!”とテーマが見つかった方は、是非ボーダレスに来てください(笑)」
061限目「田口一成」学
Presented by 今学びたい100人の学問
編集後記
「困っている人を助けたくない人なんかいなくて、助けたか助けなかったかどうかがすべてなんです。」という田口さんのお話は、とても印象的でした。バングラデシュの現状を知ったとしても、あらゆる言い訳を使って結局行動しない人が99%なのだろうと感じました。本気でやりたいことがあるのなら環境や時間を言い訳にするのではなく、それらを自分から作り替えていく気持ちで生きていこうと心から感じるインタビューでした!!!!
田口さん、お忙しいなか本当にありがとうございました!
2017/1/23
九州大学 中本翔揮
関連記事はコチラ
031限目 「戸高寛」学
日本一周。旅が流行りだした最近ではよく聞く言葉になってきた。 Loquiでも18限目「上原一真」学で日本一周を達成した方を取材した。ただ、上原さんはただの日本一周をしたわけではない。 ...
042限目「玉井洋子」学
福岡県出身 4年間メーカーの事務職として勤務。そのかたわら、マナースクールに通いインストラクターの資格を取得。結婚を機にメーカーを退職し、専門学校の非常勤講師インストラクターとなる...
011限目 「真砂剛」学
「世の中になくてはならない人間と企業を創ることに最善の努力を尽くし、その人間力と企業力によって歓びと感動の世界を形成する企業それがネクステップである」 という企業理念を掲げ、福岡の那珂...