今学びたい100人の学問

Interview | 042限目「玉井洋子」学

結婚と離婚は人生の通過点 様々なキャリアのある夫婦カウンセラーに学んでみた

更新日:2016年11月24日

この記事をシェアする

Lecture

玉井洋子 Yoko Tamai

夫婦問題カウンセラー
~謙虚に要領よく~

福岡県出身

4年間メーカーの事務職として勤務。そのかたわら、マナースクールに通いインストラクターの資格を取得。結婚を機にメーカーを退職し、専門学校の非常勤講師インストラクターとなる。またその後も、呉服店でコーディネーター、弁護士事務所で秘書、宅建を活かして不動産会社勤務、とさまざまなキャリアを経て、現在の夫婦問題カウンセラーとなる。


今回取材させていただいたのは、“夫婦問題カウンセラー”の玉井洋子さん。「結婚と離婚は真逆ではなく、離婚は人生の失敗ではない。これらは人生の通過点で、大切なことは『幸せになる』こと」という思いのもと活動され、数多くのTV番組にも出演。玉井さんは専門家の立場から、クライアントの心に寄り添って、共に問題解決に努めていらっしゃいます。さまざまな経験を経た玉井さんのキャリアは、一見して一貫性のないように思えます。しかし、その中には一つの“軸”が存在していました。「人生は出会い」と考える玉井さんの想いとはいったい。042限目の玉井さんに迫ります。

 

結婚と離婚は真逆ではない

―現在はどんな活動をしていますか?

現在は主にライフクリエーション協会、ワイズフェアリー、マリッジアゲインという3つの活動で、理事や代表をしています。ライフクリエーション協会では、九州大学大学院農学研究院助教である佐藤剛史先生と共に、少子化・未婚化問題に取り組むためのセミナーを開催したり、行政とタイアップして婚活事業を行ったりしています。コミュニケーション力を高め、仕事もプライベートも充実させることが目的です。」

「2つ目のワイズフェアリーでは、夫婦問題に悩むクライアントに対して、その方に添ったアドバイスを行っています。夫婦問題はクライアントにとって精神的に負担が大きいので、心に寄り添う形で相談に乗る必要があるのです。クライアントから『思い切って来てよかった。心が軽くなりました。』と言われ、その和らいだ表情を見たときに、天職を見つけたなぁって感じます。
その一方で、クライアントから感謝され、カウンセラーとして的確なアドバイスができたとしても、夫婦問題は相手があることなので、意に添わない離婚に至るケースもあります。そんなときは、『離婚という結論に至ったクライアントに、私ができることは何もないのだろうか。』とそんなことを考えるようになりましたね。離婚を失敗だと思ってほしくないじゃないですか、結婚と離婚って真逆のことじゃないんですよ。だから離婚の後も、いくらでも幸せになれるんだって思ってほしくて、3つ目のマリッジアゲインを始めました。これは再婚専門の相談所です。第二の人生を楽しく幸せに送ってもらいたいという思いから生まれました。

―現在の活動に至った経緯はなんですか?

興味あることは何でもするっていうのが私のスタンスです。資格の取得もそうで、興味があることについての資格は積極的に取得してみました。せっかくお金かけてとった資格は、きちんと元を取りたいっていうのがありましたし。はじめは、OL時代にビジネスマナーのインストラクターの資格を取りました。その後、医療福祉専門学校でマナー講師として働き始めることができたので、資格に投資した分の元(お金)は取れましたね。

私、もともと着物を着るのが好きで、結婚を機に着付けの教室に通っていたんです。そこで、今度は着付けの講師の師範資格を取りました。それもかなりお金がかかったので、また資格を生かした仕事をして元を取りたいなと思って、呉服屋でコーディネーターとして勤め始めたんです。

ただその呉服屋は、数億円の負債を抱えて突然倒産したんです。最後2ヶ月間のお給料は支払われていませんでした。だからその後、ある弁護士の方とやりとりすることになりました。その弁護士の印象は、ひと言で言えば『偉そうな人』。立場関係なく上からものを言われ、とても嫌な気持ちになりました。『こんなに偉そうに話す弁護士って、どんな人達なんだろう』という嫌な思いから、逆に弁護士に興味を持ち、法律事務所の秘書に応募してみたのです。多くの応募者の中、採用条件と私の所持資格が合致したこともあり採用され、結局弁護士秘書として10年間勤務させて頂きました。

そして、この10年の間に2人の子どもを出産し、育児など家庭の事情で法律事務所を退職したのです。年齢的に転職することが困難だと思い、宅地建物取引士の資格を取り、不動産会社の求人に応募しました。とてもいい会社でしたし、仕事内容も充実していたので、4年ほど勤めさせて頂きました。その仕事は私が希望していて、国家資格を生かした仕事でした。それにもかかわらず、働いているうちに私の中で『どこか違う』という気持ちが強くなっていったのです。

『一生やれる仕事をやりたい』という思いから、資格取得の本をパラパラとめくっていたその時、あるページに目が留まりました。“離婚カウンセラー”という聞いたこともない資格でした。その“離婚カウンセラー”の適性チェックシートをやってみたところ、チェック項目全てに〇が付きました。たったこれだけのことですが『これだ!』と思い、資格を取得し離婚カウンセラーとなりました。

信頼は地道に丁寧に

―現在の活動で大変だったことはありますか?

後先考えず、資格取得と同時に事務所を構えたことですね。知識もほぼないまま、直感だけで起業してしまいました。その後、急いでホームページを作成し、フリーペーパーに広告を出したのですが成果ゼロ。フリーペーパーにほんとうに載っているのか疑ったほどです。最初の月は相談者一人でした、大赤字ですね。

『このままじゃまずい!』ってことで、熱意だけで必死にプレゼンをして資金繰りをしました。そしたら『全額は無理ですが、あなたの熱意に半分貸しましょう。』という神の声をいただきました。このときはじめて気づいたんですよね、事業をやっていくには営業が必須だと。世の中甘いものじゃないって痛感しましたね。それから1年間ひたすら人に会ったり、定期的にブログで発信したりしていました。それから徐々に相談者が増え、テレビや新聞といったメディアに取り上げられるようになりました。発信し続けたことで何かが引っ掛かったんだと思います。

事業を軌道に乗せるまではとても大変で、大儲けすることもありません。それでもこの仕事を辞めようとは思わないんです。相談に訪れるクライアントは、人生どん底の方が多い。でもカウンセリングの後は、少し微笑んで希望をもって帰られます。その笑顔が私にとってなにより嬉しい瞬間です。これまで様々な業界に身を置き、様々な仕事をしてきました。その経験が今のカウンセラーという仕事に、全て活きていると言っても過言ではないですね。

人生屋みたいな感じですかね

―玉井さんの想いや信念が知りたいです!

これまでの話で、いろんな事やっているねって思われるかもしれないんですけど、私の中には一貫性、“軸”みたいなものはしっかりあるんですよね。私が“軸”にしていることは、“幸せな人生”これにつきます。誰もが幸せになりたいって思っています。ですから相談者の方にも幸せになってほしいので、相談者一人一人の幸せに寄り添って、選択肢を提示していこうとしています。人生屋みたいな感じですかね。

起業して8年、仕事をしていて感じたのですが、ここまでやってくるのに一人では何もできなかったんです。最初は本当に無知で、いろんな人に頼りました。そして素直に頼った結果、色んな人に支えてもらって今の私があるんです。素直に頼ったときに、助けてくれない人なんかいませんから。

このように、人にお世話になってここまで人生を送ってきたので、今度は私が誰かのためになろうと思っています。人生は人との出会いで決まります。自分が人から裏切られても、自分は人を裏切らない、このことが大切。この思いを毎日確認するために、手帳の裏表紙にある言葉を書いています。“謙虚・誠実・勤勉”です。覚えていても、初志を忘れないようにあえて書いています。」

謙虚に要領よく

―最後に、学生に伝えたいことはなんですか?

今の人たちって目標がないじゃないですか。それは悪いことではないんですよ、目標なんてすぐに決まるものでもないし。ただ、具体的な目標や興味・関心の持てるものがないからといって、何事にも消極的になり、行動にも移さないという“待ちの人生”というのは、ちょっと違うと思うんですよね。

天職が何なのかなんて、私みたいに時間がたってから見つかることもあります。流れに逆らわずに、そのときにやれることを精一杯やってください。人生は行動ありきです。その中での出会いや人っていうものを、必ず大切にしてください。誰もが、社会に活きる能力を持っています。でも、それを見つけるのは簡単なことではないと思います。それを見つけるために日々一生懸命過ごしてください。そして人生の先輩方を頼ってください。『謙虚に要領よく。』この言葉を伝えたいです。世の中独りでは生きられません。人とのコミュニケーションを大切にできる人になってください。

042限目「玉井洋子」学
Presented by 今学びたい100人の学問

 

編集後記

いかがだったでしょうか。玉井さんの言う「人生は出会い」という言葉、そして「人」こそがすべてという想いは、Loquiとしても自分自身としても共感する部分がありました。まったく別の仕事の話をしているときでも、不思議と玉井さんがもつ“軸”が伝わってきました。私も謙虚に要領よく生きて、誰かのためになる生き方をしていきたいです。玉井さんは、非常にお綺麗で、私たちへも誠実・丁寧なご対応をいただき、素晴らしい方でした!また私自身としても、結婚のことをここまで深く考えられたのは、とてもいい経験です。玉井さん、ありがとうございました!

2016/7/9
九州大学 中本翔揮

この記事をシェアする

関連記事はコチラ

006限目「山田美穂」学

「高3を終えれば子供は巣立つから、家族で一緒に過ごせる時間って本当に短いんです。だから私は、家族で過ごせる時間を一番大切にしています」 三児の母親でありながら、THREEe(スリー...

2015/05/01

018限目 「上原一真」学 

ランニングで日本縦断をされた方をみなさまはご存知でしょうか? 今回取材をさせていただいた上原さんは、 福岡県・大濠公園 ~ 北海道・宗谷岬を走って縦断された方です。 2015年04...

2015/11/23

035限目「中村圭一」学

中村圭一 Keiichi Nakamura 1984.3生まれ。32歳。福岡県糸島市出身。 学生時代は社交的になりたい引っ込み思案の性格で臨床心理の道に進学。大学卒業後は医療...

2016/11/24