Interview | 038限目「小原明人」学
筋肉ムキムキボディハッカー
更新日:2016年11月24日
Lecture
小原明人 Akihito Ohara
健康開発系ボディハッカー
~全人類筋トレすべし!~
1985年生まれ31歳 愛媛県出身
福岡発マッスル集団ALL OUT代表 スマイルアカデミーCOO
早稲田大学商学部卒業後、株式会社リクルートHRマーケティング(現リクルートジョブズ)に入社。人材業界で営業経験を重ね、計5年勤務。その後、2013年より株式会社スマイルアカデミーを創設。福岡の中小企業を相手にして、課題解決のための人材紹介、地域活性化、web関連、子供教育関連などの事業を行う。
2014年より「ベストボディジャパン」に出場し、昨年関西大会にてグランプリを獲得。その後、フィットネス、トレーニングの浸透を目的として、筋肉紳士集団「ALL OUT」を創設。鍛え上げられた肉体を活かし、イベントPR・CM・モデルなど、様々な分野で全国的に活動している。現在、ボディハッカーと呼ばれるマッスルメンバーが、全国で250名以上所属している。健康な体を維持するための最大の予防医療は「生活習慣」にあると定義し、体づくりの視点から未来を切り開く。
筋肉・食・人材・教育、「好きなことを仕事にする」現役ムキムキボディハッカー。
まえがき
マッチョ――それは、誰もが一度は憧れたことのある究極の肉体美――。昨年、東京都にて、期間限定で開かれた「マッチョカフェ」が大きな話題を呼んだことはご存知でしょうか。実は、この「マッチョカフェ」登場以前から、ここ福岡の地で“マッチョ”をビジネスにすべく心血を注いできたアツイ男がいます。「趣味です。楽しいからやっています。」と語る彼にとって、筋肉とはアイデンティティであり、人生を楽しむものです。
今回は、そんな彼、小原さんに注目します。趣味を仕事にするという楽しさ、“マッチョ”のビジネスを通して伝えたい小原さんの想い。先が見えず不安な将来を、どうやってキャリア形成していけばいいか、それを考えるヒントとなる038限目の小原さんに迫ります。
関連URL:http://allout-japan.com/
体重50kg“ガリガリ体形”からのスタート
―体づくりのきっかけを教えてください
筋トレ歴から言うと、小学校から大学までずっと陸上競技をやっていて、高校からウェイトトレーニングをやるようになりました。実は、私はもともと未熟児で、高校まで体重は50kg台くらいしかなかったんです。でもトレーニングをするにつれて、どんどん体が変わっていったんですね。体の変化がすっかり楽しくなっちゃって…。高校の最後には、陸上よりウェイトトレーニングの方が楽しくなってきました。
―どんなトレーニングをしていましたか?
大学の陸上部では、トレーニングパートナーを組んで、2人1組でトレーニングをしていました。普通は同じ種目の人(短距離なら短距離の人と)組むけど、自分だけなぜか200kgのベンチプレスを上げるような円盤投げの先輩と組むことになったんです(笑)
その相方の先輩はスポーツ科学部の先輩で、卒論のテーマが“ウエイトトレーニングによるのパフォーマンス向上効果”というものだったんですが、自分がその被験者になって…。結果から言うと、部活のパフォーマンスは全然伸びなかったんですが、体はみるみる変わっていって、ベンチプレスも80kgから120kgまで上がるようになりました。それでもう楽しくなっちゃって、大学卒業後もサラリーマンを続けながら、趣味でトレーニングをするようになったんです。
―就活はどうしたんですか?ガッツリ部活で大変ですよね…
私は、就活のときは明確に何かこれがしたいというのはありませんでした。部活をやっていたときは、陸上が命だったのですが、実は大学3年のときにアキレス腱を切ってしまいました。引退を余儀なくされ、そのあとは自分というものが何もなくなったんです。
でも、時間の余裕だけはできたので、『とりあえずやりたいことをやろう』、と思って…。先輩のベンチャー企業で営業をしたり、バックパッカーでアジアを回ったりしました。将来はなんとなく自分でビジネスをやりたいと思っていたので、そういうのを少しでも学べる場所に行ったんです。
「人」を軸に模索した就活、そして転職・起業
―何を軸に就活していましたか?
業種ややりたいことも、はっきりしていたわけではありませんでした。一緒に働いて面白い、この人と働いていたらものすごく熱くなれる、みたいな人たちがいるところで働くことに意義を感じていました。
だから、就活は“人”という軸だけ決めて会社説明会やOB訪問で60社ほど訪問し、どんな方々が働ているのかを感じに行きました。結果、その中から特に魅力的な方がいる会社を10社選んでエントリーしたんです。最終的に決めたのは、リクルートジョブズという会社で、本当に面白い人ばかりいました。
―リクルートに入社されて何をしたんですか?
リクルートは人材の仕事で、自社の求人媒体を、主に中小企業向けに営業していました。東京1年半・福岡1年半・広島2年と、計5年働きました。中小企業は大手ほど採用ノウハウがなくて、採用につながるまで、自社の魅力を伝えきれない部分が大きいんですね。しかも、中小企業の担当者はいろんな仕事を兼務しているから、採用にあんまり時間が取れない。
だから、その企業と一緒に採用について考えたり、お手伝いをしたりするのがメインの仕事になっていました。抱える課題を探り出し、そこに対してどういう人材がいたら事業課題を解決できるのかを考え、自社の媒体を使って『こういう人材を採用しましょう』という提案をするんです。大手と違って、1人良い人材が入ると大きく会社が進むのがやりがいでしたね。
―スマイルアカデミーの起業のきっかけを教えてください
リクルートジョブズに5年間いて、リクルート自体も大きくなってきました。組織体系も少し硬くなり始めて、大きい組織のなかで自分のやりたいことがやりづらくなってきたんです。『本当にやりたいことがあったら自分でやった方が早いのでは』と思ってきて、とりあえず辞めるだけ辞めました。でも、実は明確にやりたいことがあったわけではなく、漠然と何かやりたいと思っていただけでした(笑)
当時福岡勤務だった同期と一緒に起業してしまい、始めたからには何かやるという流れで仕事をしていました。もともと人材業界にいたので、最初は有料職業紹介という免許を取って、企業に営業マンなどを紹介するような人材紹介業をしていたんです。でも、人材の仕事をするなら、自分がいい人材を抱える必要があったので、IUターンといって、東京や関西で勤務している、『福岡に帰りたい!福岡に移住したい!』といった人たちを捕まえていました。福岡にIUターンを望む人は、他の県へのIUターン者に比べて多いですね。
マッチョたちをPRする場所づくり
―その頃、筋肉はどうでしたか?
筋肉ですね(笑) 実は、友人からお誘いがあって、2014年度のベストボディジャパンという、細マッチョでかっこいいカラダを競う大会に出場しました。一応、関西大会ではグランプリをいただいて…。
その競技に出始めると、フィットネス業界は狭い業界なので、どんどんつながるんですね。出場している選手同士で、普段の苦労を分かち合えるので、本当にすぐ仲良くなれましたね。
―ALL OUTを作ったきっかけは?
でもコンテストに参加して、マッチョはこんなにいっぱいいるけど、この人たちが活かされている場所って全然ないな、って思い始めて。こんなにいいカラダを作っても、コンテストに出るか、ちょっと海に行ってモテるくらいしか活かせるところがないんです。
カラダづくりって本当に時間とコストがかかっているんです。こんなにもコストと時間をかけていて、その集大成を活かせられないのはもったいない。そういう人たちが活躍することで、大好きなトレーニングやフィットネスを浸透させる事業をやりたいなと思ってALL OUTを作りました。
自分みたいな、ボディをハックするマッチョのことを、私たちは“ボディハッカー”と呼んでいて、現在登録ボディハッカーが250人以上います。事業としてやっていることは、ALLOUTでイベントや企業のプロモーションへ出演したり、各メンバーを様々な案件にキャスティングしたりしています。ハウステンボスのイベント、百貨店イメージキャラクター、CM、モデル、テレビ出演など幅広いです。色んな分野でALLOUTメンバーが活躍することで、マッチョのイメージを変えていきたいですね。
―「ALL OUT」は、どのようなことを目指しているのですか?
理念はフィットネスの浸透です。ALL OUTはフィットネス好きが集まっていて、メンバーの半分くらいがフィットネスのトレーナーなんです。日本って、欧米諸国とかに比べてもフィットネス人口が本当に少なくて…。
日本はこれからかつてない高齢化社会を迎え、高齢者が増え、社会保障が破たん寸前、医療費高騰っていう時代が来るかもしれません。そうなると、みんな予防医療が必要になってきます。その最大の予防医療が生活習慣を整えることだと思っていて、生活習慣で体を整えるためにはフィットネスが必須なんです。
この重要性についてほとんどの人が知らないので、ALL OUTで広めていきたい。ただ、いきなり筋トレも難しいと思うし、『ALL OUTみたいなカラダになりたい』、『トレーニングすることが素晴らしいかっこいい!』、そういうことを伝えて、若い人がフィットネスに興味を持って足を踏み出す環境を作っていけたらいいなと思っています。
好きなことを好きなだけやるということ
―どうやったら好きなことがみつかりますか?
自分の好きなものを見つけるというのは、難しい話ではないです。何かやっていれば見つかるものだと思っています。でも、いつ見つかるかはわからない。たとえ簡単には見つからなくても、今のことをやり続けることが大切だと思います。よく、『好きなものがなかったらだめだ!』って言う人がいるけど、人の幸せのカタチはそれぞれで、強制的に好きなものを見つける必要はないと思うんです。今の状態が心地よければOKでけど、人間は少なからず『欲』があるので、もっと楽しいことをしたいと思うはずです。そうやってどんどん自分が『楽しい』と感じることを追い求めてください!
―最後に、学生へのメッセージをひとことお願いします。
ALL OUTは、自分の大好きなことの延長線上の仕事です。好きなことを仕事にできている状態が天職、ベストだと思っていて、今めちゃくちゃ楽しいです。仕事もプライベートも境目がなくて、いつもそのことを考えている、その状態がベストだと思います。今の若い人は、仕事と楽しいこととマッチしていないとずっと頑張れないと思います。それに出会うのは難しいけれど、出会えるように、今をがむしゃらにいろんなことにチャレンジしてほしいと思っています。
038限目「小原明人」学
Presented by 今学びたい100人の学問
編集後記
写真を見ていただければお分かりになると思いますが、すごい…筋肉…。
私は、仕事とは本来、世界を良く楽しくするために、人間が行う選択だと思っていて、本当に実践されている小原さんにお会いできて大変学びになりました。「好きを仕事にする」、素晴らしいと思いましたし、私も実践したいです。小原さん、ありがとうございました。
2016/6/4
九州大学 井上聡太
関連記事はコチラ
027限目 「眞鍋海里」学
コンテンツプランナー。みなさんはこの職種を聞いたことがあるだろうか? 今回の学問は「眞鍋海里」学。 外資系広告代理店BBDO J WESTでコンテンツプランナーとして活躍する...
039限目「野崎大輔」学
1984/7/17 生まれ 東京都出身 株式会社ホールハート(新卒アドベンチャーズ/アドベンチャーズ/buddyz運営)のデジタルマーケティングチーム マネージャー コミュニケーシ...
060限目「木綿達史」学
1973年 石川生まれ。1997年 KOO-KI 共同設立。 CM/MV/ゲームオープニング/番組パッケージ/サイネージなど、映像全般をディレクション。 代表作は、WONDA 金の微...