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Interview | 045限目「白田直也」学

世の中の問題を解決するため教育に携わる やりたいことから将来のキャリアを描いた男に学んでみた

更新日:2016年11月24日

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Lecture

白田直也 Naoya Shirata

認定NPO法人 Teach For Japan CEO
~自分が大好きなコトを語れる大人になろう~

1987年生まれ 神奈川県出身

中学生のころから教員を志して東京の大学に入学。就職活動を経験し「卒業後すぐ教員になる」という考えから一転、2010年に民間企業である楽天へ。入社1年目から新人賞を受賞するなど活躍をみせるが、徐々に社会人の現実に疑問を抱き、在職中に教育関係者と民間人との交流を促すイベント企画団体homeroomを主宰する。そののち、2012年からTeach For Japanのフェロー1期生として、プログラムに参加し教師を勤める。その後も教育分野でフリーランスとして活躍し、2016年6月よりTeach For Japan のCEOに就任。

*Teach For Japanとは
Teach For Japanは、多様な経験と教育への情熱を持った人材を、教師として学校現場へ派遣しています。一人でも多く、子ども達と向き合い続ける大人を学校現場に増やしていくことで「すべての子どもが素晴らしい教育を受けることのできる社会」の実現を目指している団体です。

民間就職、公務員、起業、教員・・・・・・キャリア選択に悩む学生も多いのではないでしょうか。今回取材させていただいたのは、白田直也さん。「教育」を軸として柔軟にキャリアを変更、現在はTeach For JapanのCEOとして、教育現場の前線に立ち続けています。「やりたいこと」から将来のキャリアを描く、そんなキャリア形成のヒントが得られるかもしれません。

関連URL: http://teachforjapan.org/

 

大人って楽しくなさそう

―教員を目指すようになったキッカケは何ですか?

中学生のころですね。自分の将来について考える授業があったんです。『世の中の問題を解決できたらいいな』という思いから、『教育を通じて人がより幸せを感じられる社会を創りたい』と考えるようになりました。やはり当時の担任の先生の影響は非常に大きかったですね。その先生も社会人を経験してから教員になった方で、僕に“先生として”ではなく“人間として”接してくれていました。僕が一番悩んだときに手紙と2冊の本をくれたことを今でも覚えています。先生が自分のことを本気で想ってくれているのをずっと感じていました。この経験から“成長期に関わる大人の重要さ”を実感しましたね。もともとあった想いに加えて、その先生の影響から教員を目指すようになったんです。

―楽天に入社を決意したのはなぜですか?

大学に入学してからは、中学・高校の社会科の教員免許を取るために勉強しつつ、ダンスにも打ち込んでいました。そのまま教員採用試験を受けようとしていたころ、友達に誘われた就活イベントで衝撃を受けたんです。『キラキラ働こうとしている人が、こんなにもたくさんいるんだ!』って! 当時、自分は『大人は楽しそうじゃないな』『仕事をイキイキしているわけじゃないんだろうな』って思っていました。ところがそのイベントでは、新卒向けだったとしても、大人がみんなキラキラしながら、仕事の話をしていたんです。それで、このまま僕が先生として『大人はツマラナイ』って勝手に決めつけて、子どもたち伝えてはいけないなと思いました。だから教員を目指すのは一旦やめて、就活をすることにしました。社会人をやってみたくなったんですよ。

直面したのは社会人の現実

―楽天入社後はどうでしたか?

1、2ヵ月して周りを見てみると、みんなどんどんモチベーションが下がっていました。就活のときは、やりたいこととか夢とか散々語っていたのに。みんな『やることやらなきゃいけないんだな』っていう社会人の現実に直面して、愚痴や文句ばかりでした。

僕はそれを疑問に思っていました。だって、親の言うとおりに勉強を一生懸命にやって、良い学校に行って、良い会社に行って……“成功パターン”のレールに乗るため、小・中・高の12年間を使ってきたはずなのに。でも、東大や早稲田、慶応大学を出た人が楽しそうかっていうと全然そうとは限らない。メガバンクや商社に入社した人が楽しそうかっていうと、そうじゃなくて。楽しそうな人は楽しそうだけど、つまらなそうな人はどこいってもつまらなそうにしていて。『一体何だったんだ!?』っていうような過去の12年間の“責任”は、もう自分でとるしかないんですよ。『これって矛盾しているじゃん!』と思ったんですよね。

―その問題意識がhomeroomの主宰につながったのですか?

そうです、『こういう現状を学校の先生が今すぐにでも知ったら、何か子供たちに伝えるメッセージが変わるんじゃないか』と思って。民間社会人が感じていることをシェアできたら、その先生はその話を生徒にしてあげられると思ったんですよ。だから教育学部の友達に片っ端から電話をかけて、保育所からTwitter、mixi(ミクシィ)にまで呼びかけて、第一回homeroomを30名弱くらいで企画しました。そのときは本当に使命感に溢れていて。だって明らかにおかしいんですよ。自分も周りも正しいと思って進んできた道が必ずしも正しくないなんて!

―入社後たった2ヵ月でhomeroomの活動を始めたのですよね?

その前に“ヒント”がたくさんあったんです。会社のある先輩に僕が『学校の先生になりたくて楽天に入ったんです』って話をしたんですよ。そしたらその先輩が『そうやって夢を持って入ってくる人は多いけど、それを途中でなくしちゃう人も多いんだよね。だからもし本気でやりたいんだったら、夢を繋ぎとめておかないとだめだ』って教えてくれたんですよ。その気付きがあったときに、他のことも全部つながったんですよ。『学校の先生になるという夢を繋ぎとめる活動をしなくちゃいけない』って。

ただ、そういうことをやる上では、会社で成果を出してから主張しないとだめだなと思っていました。だから営業をめちゃくちゃ頑張って、結果を出していたんです。でも『ビジネスマンを経験したい』という動機だったので、事業に対する個人的なビジョンがなく、モチベーションが下がっていってしまったんですよ。

―白田さんにもそんな時期が……その後はどうしたんですか?

そんなときに、フローレンスの駒崎さんという社会起業家の方の講演を聞きに行って、自分が理想とする社会人の姿に出会うことができたんですよ。『本当に人のためになることをして働くことができるんだ!』って。ちょうどその頃、楽天で学生のOB訪問を担当していて、たまたまTeach For Japanのことを学生から教えてもらいました。それからウェンディ・コップ(Teach For America 創始者)の講演を聞きに行って、その年の年末にTeach For Japanのフェローとなり、教師として赴任する話をいただきました。Teach For Japanで教師を経験した後、現場の目線からもっとTeach For Japanを良くすることができると思い、Teach For JapanのCEOへの就任を引き受けました。

自分が本当に輝けることを

―では最後に学生に伝えたいメッセージをお願いします

自分の好きなことを全力でやってほしい。『好き勝手にやっていい』という意味ではなく、夢中になってやめられないこと、自分の心が震えるようなことを一生懸命やったらいいと思います。もしそれが分からなかったら、自分がちょっとでも面白いと思うものを、100個でも200個でも書き出して全部やったらいい。その中から自分の心に響いたものを残せばいいんです。

もちろん、自分が本当に輝けることをしないといけない。『ダラダラするのが好きだから』ってダラダラしているときに『自分って素敵』とは思わない。逆に、自分が本当に好きなことを熱中しているときに『自分ってダメだ』とは思わない。自分が一番輝けることは、自分が一番分かっているはずだから、それを選んでいくことが大切です。

恐れや不安もあるかもしれないけど、勇気をもって『ちっちゃいこと』から『自分のやりたいことを応援してくれる人』と実行に移すことが大事。批判したり傍観したりするだけじゃなくて、自分たちで率先してアクションを起こしていってください!

045限目「白田直也」学
Presented by 今学びたい100人の学問

 

編集後記

2016/7/31
ぺの

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