Interview | 046限目「津上竜夢」学
カメラ男子に憧れて ケーキ屋のInstagramerに学んでみた
更新日:2016年11月24日
Lecture
津上竜夢 Ryomu Tsugami
Instagramer
~積極的にアクションを起こそう!~
1989年生まれ 福岡県出身
地元福岡で生まれ育ち、大学を卒業したのちも、福岡で就職。しかし1年目のうちに退職し、それからは福岡県糸島市のケーキ屋で働いている。また、Instagramに写真を撮ってアップするInstagramerとしても、福岡を拠点に活動中。写真を通じて、国内外のInstagramerと交流し、フォロワーは1万人を超えている。日本発モバイルフォトグラフィティのコミュニティ「Mobile Walkers Japan(@mw_jp)」のメンバーでもある。
今回インタビューさせていただいたのは、津上竜夢さん。ケーキ屋で働きながら、Instagramerとして活躍されています。なんとフォロワー数は1万人を超えているんだとか!今回はそんなInstagramerになるキッカケや経緯をインタビューしました。046限目の津上さんに迫ります。
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始まりは美容師さんとの会話から
―現在はどんな活動をしていますか?
糸島にあるケーキ屋で働いています。Instagramは、活動と言っても、ただ写真を撮ってアップしているだけなんですけどね。元々、なんとなくInstagramに登録していて、コーヒーを撮ったり、日常的なものを撮ったりしていました。
そんなときに、いきつけの美容師さんから『Instagramって面白いんだよ』って写真を見せてもらいました。その写真は、雲の動きがすごく良く撮影されていて、思わず『これどうしたんですか?』って聞いたんです。そしたら、『iPhoneで撮って、加工しただけだよ』って美容師さんが教えてくれました。それで『iPhoneでこんなスゴい写真撮れるんや!』と思って、その日のうちにiPhoneを買いに行ったんです。前のAndroidの機種代の残額もあったけど、買うしかないと思って。そこから写真の魅力にハマりだしましたね。
―Instagramerとして有名になった経緯が気になります!
Instagramにハマる前に、『カメラ男子ってかっこいい!おしゃれ!』と思い、一眼レフカメラを買っていたんですけど、使い方がよく分からなくて放置していました。Instagramに取り組みはじめたのは3年くらい前で、最初はもう地道にiPhoneで撮っていましたね。
福岡にも、結構Instagramerの方がいるんですよ!そのなかでも特にiPhoneで撮っている人達を参考にしていました。『こんな撮り方ができて、こんなエディットもあるんや』ってその方々の写真を見てまわっていました。そうして写真の知識を吸収して、自分のフィルターにかけて理解し、また自分で写真を撮ってアップするという繰り返しでした。そうしているうちに、さまざまな人から声がかかるようになり、どこへいってもInstagramの友達がいるような状態になっていたんです。一度Instagramの公式にサジェストユーザーとして特集されてからは、フォロワーが爆発的に増えましたね!
―活動を続けるなかで、なにか気付きはありましたか?
Instagramの中にも、流派みたいなのがあるんです!音楽で言う、インディーズやパンクといったジャンルのように、一眼派やiPhone派、フィルム派みたいなジャンルがあります。その中でiPhone派は、ファインアートに近いというか、手軽にケータイ一つで撮って加工して共有できるという特徴があるんです。さらにそのiPhone派の中でも、エディット系や、アート系の人もいれば、ストリート系もいて……『iPhoneでもここまでいい写真ができんだ!』って、モバイルの世界にはまりました。
出張で海外へいったときも、海外のInstagramerに声をかけて、場所を教えてもらったり、ご飯を一緒に食べたり、しゃべったりしています。写真だけじゃなくて、そういった“つながり”ができることも魅力ですよね。
―Instagramで写真を楽しむコツとは?
今の気持ちを写真に投影して、統一感を出すことをすごく大事にしています。自分が一番面白くて楽しいものをアップロードしているって感じですかね。そのときに、一枚の写真に“テーマ”をいくつか含めるようにしています。いわゆる、主題と副題。最近は、“福岡”を撮りたいって思っているんですけど……。例えば僕だったら、このコーヒーを山笠の提灯と一緒に撮りますね。そうすることで“主題”のコーヒーに“副題”の福岡っぽさを合わせるんです。そのほかに、あえて“違和感”のある写真として、ゴリゴリの西洋の建物の横に、福岡の和の建物があるような風景も撮ってみたいですね。
あとInstagramにポストする前に、一回別のアカウントでポストしますね。自分で鍵アカウント(非公開アカウント)をもうひとつ作って、そこにポストして統一感を確かめるんです。『次この写真をアップロードしたら、こういった感じになる』っていうのを自分でテストしています。それでいいバランスだと思ったらそのままメインのアカウントでアップロードしますね。Instagramやっている人は結構これをやります。
自分から積極的に、自分に素直に
―大学生の頃はどんな学生でしたか?
福岡市で生まれ育って、福岡の大学の法学部に進学しました。『勉強して、良い大学に入ることが一番の親孝行』『受かった大学のなかで、自宅から近くて一番偏差値の高いところに行こう』ということしか考えていませんでした。だから法律も全然興味なかったんです。でも刑事法のゼミに入ってからは、刑務所内の環境や受刑者の人権、マスコミの報道といった、社会の問題やその裏側を知れて面白かったし、良い経験ができました。
そういった勉強の一方、教授が毎週火曜日に自宅でパーティーを開いてくれて、それに参加していました。教授が色んな先生や教授、新聞社の方を集めて、結構その場で“飲みにケーション”をとっていて、そこで自分の世界が広がりましたね。
当時よく『人見知りなんですけど、よろしくお願いします』って自己紹介をしていたら、あるとき教授に『それは思い込みだよ』って指摘されて……。『自分で勝手に人見知りと思い込んでいるだけだ』と自覚してから、自分が変わりました。自分から人に積極的にいろいろ聞いた方が楽しいなって思うようになりました。今ではInstagramでも色んな人に声をかけるので、その経験はすごく大きかったですね。
―どのような就職活動をしましたか?
音楽とか、絵を描いたりとか、写真コラージュしたりとか、小さい頃からクリエイティブなことは好きでした。でも当時は就職氷河期で、『仕事としてやりたいことがないから、どこかに内定が取れればいいか』と思っていました。
そしたらある企業に内定をいただいて、営業をやることになりました。でも仕事の特性として、お客さんが喜んだ姿を観ることができなかったんです。『やりたいことが違う』とか『何のために仕事をするんかな』とか考えて、結局半年くらいで会社を辞めました。そのときは、具体的に次の職として何をするかまでは決めずに辞めました。
そこからなぜ今のケーキ屋に入ったかというと、前職の営業でお世話になっていたからです。あと、高校の同級生の親が社長をされていた関係で、前職のときからかなり応援していただいていました。退職のときに『今までお世話になりました』ってご挨拶に伺ったら、『じゃあ、うちに来ないか?』って誘われて。今のケーキ屋での仕事は、人と面と向かって接客して、喜んでいる姿を間近で見ることができるから良いなあと思って入社しました。
自分のフィルターにかける
―貫き通してきたこだわりはなんですか?
楽しむことです。自分が『いいな』と思ったものを突き詰めてくのが一番いいと思います。あと、いろんな人から受けたインスピレーションを、自分のフィルターにかけて、作品にしていくこと。つまり、そのまま誰かの真似をするのではなくて、自分なりの解釈を加えていくことですね。
今まで生きてきたなかで面白いと思ったこととか、聞いてきた音楽とか、やっぱ経験には自分の“軸”があります。結局、自分らしくない写真をあげてしまうと悔しいですもんね。本当に自分が良いと思ったもので、反響がでると嬉しいですよ。反響目当てでやっているわけではないけど、SNSだから反響はやっぱり大事にしたいですね、モチベーションになりますし。
―最後に学生に向けてメッセージをお願いします!
いろんな人に会っておいたほうがいいし、いろんな音楽であれ映画であれ、に触れてほしいです。特に映画は非現実世界に誘ってくれるから。小説もそうですが、普段暮らしていて味わえないことを味わえるじゃないですか。小説は読んで自分の頭で考えて、物語を映像化していくから、そういう普段味わえないことを味わうのが大事じゃないかなと思います。非日常な世界に作品を通して触れることで、豊かな想像力を養っていってください!
046限目「津上竜夢」学
Presented by 今学びたい100人の学問
編集後記
僕は個人的に写真が趣味で、最近はInstagramの活用法や良い写真の撮り方に興味がありました。だからこそ、福岡を中心に活躍されているInstagramer津上さんのお話は、すごく楽しく勉強になりました。写真の撮り方だけでなく、SnapseedやEnlightといった、編集に使うおすすめのアプリも教えていただきました。また、Instagramを通じて経験したおもしろエピソードもお聞きすることができ、僕自身ますますInstagramの魅力に取り込まれていきました。いつか津上さんのようなInstagramerになれるよう頑張っていきます!
2016/7/12
九州大学 金子雄仁
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