Interview | 020限目 「窪田広宣」学
ワーキングホリデーで人生が変わった NPO活動で世界の子供たちを救う教育者に学んでみた
更新日:2015年11月26日
Lecture
窪田広信 Hironobu Kubota
NPO法人 国際教育支援機構スマイリーフラワーズ代表
〜ピースを集めて、自分の絵を探せ!〜
NPO法人国際教育支援機構スマイリーフラワーズ代表の
窪田広信(くぼたひろのぶ)さん。現在は、国際交流・留学支援を中心に福岡で活動をしており、
また、困難な立場にいながらも努力する児童養護施設の子どもたちと世界を繋げる活動も行なっている。
関連URL:http://www.smileyflowers.net/
ジグゾーパズルのピースをまずは集めて、自分の絵を見つけよう。
ーNPOの活動の中で、一番嬉しいことは何ですか?
一番嬉しいことは、やはり海外を体験した後の自信に満ち溢れている子どもたちの顔が見れることですね。
私たちはコンセプトとして、平等に誰でも海外の世界を体験してほしいという願いを持っていて、その一環として児童養護施設の子どもたちを海外に連れていく活動を行っています。海外に行く前に英語の勉強をしたり、飛行機に初めて乗ったりする子どもたちのわくわくしている顔と、帰国後の自信に満ちた表情は見ていて感動するものがあります。特に児童養護施設の子どもたちは自己肯定感が十分に育まれていない子が多いので…。
私たちがきっかけで「将来は海外で活躍したい」と言う子どもがいて、そのような声をきくと非常にやりがいを感じます。
実際にフィリピンでの児童養護施設のボランティアを体験した子どもが、日本の施設の充実さに気付かされて、
将来は海外の恵まれない児童養護施設でお手伝いをしたいということもあったそうです。
そんな子どもたちの自信に満ち溢れた顔を僕も見てみたいですね
ーでは、窪田さん自身はどのような家庭で育ってきたのですか?
私は生まれた時に両親が離婚したので、父親に会ったことはありません。3人の兄がいて男4人兄弟の末っ子でした。母親一人で4人を育てていたためにもちろん貧しくて、兄は3人とも中学を卒業した後には働いて家計を助けていました。私はその兄のおかげで高校に通うことができました。工業高校だったので、卒業後は就職をしました。
職を転々とする中で、24歳の時に人生が変わるきっかけがあったと窪田さんは語ってくれました。
ー人生を変えてくれた出来事とは何だったのですか?
24歳の時にワーキングホリデイという制度があることを初めて知りました。
それまでは『死ぬのがめんどくさいから生きている』状態で将来のビジョンなどまったくありませんでした。なので、そのような現実から新しい世界へ逃げるという視点もあったのかもしれません。ワーキングホリデイを知って、これだ!!と思い、その3ヶ月後には出発していました(笑)。
得意不得意があるのだから自分の得意を伸ばしていこう!
ーワーキングホリデイを通して何がそんなに自分を変えてくれたのだと思いますか?
2つあって、1つ目は自信を持てたことです。
私はもともと英語が話せなかったのでどんどん話すようにしていました。その時に、同じクラスだった東大生に『すごいなお前』と言われたのです。彼曰く、自分はTOIEC800以上の点数は持っているけど、間違えるのが怖くて話せない、と言うのです。それを聞いて思ったことは、人は優秀だとかそうではないではなく、得意不得意があるのだから自分の得意を伸ばしていこう!でした。とにかくどんどん話すうちに友達もたくさんできて、とても充実した日々を過ごすことができました。
2つ目は、将来が明るくなったことです。
当時、海外に行く前に私は祖父と一緒に生活をしていました。祖父は若い時には地元でも有名なくらい元気なおじいちゃんだったのですが、年をとると、ベッドの上で動けずもう殺してくれと言うようになったのです。私自身、たくさん働いて行き着く先がこれなのかという喪失感があって将来に対していいビジョンを描けていませんでした。しかし、オーストラリアのおじいちゃんたちはかっこよかった!
私がワーキングホリデイ期間に撮った写真で一番好きな写真は、オーストラリアのおじいちゃんとおばあちゃんが手をつないで街中を歩いている写真なんです。こんな年寄りになりたい!と思ったのと同時に将来が明るくなりましたね。
帰国後、留学業界の会社に就職して8年間働いていた窪田さん。留学をビジネスとして捉えることに違和感を感じ、最初はNPOではなく、起業だったそうです。
ー独立後、NPO設立に至る経緯を教えてください。
独立後はそのままNPOではなく、株式会社を起業して2年間共同経営をやっていました。そんな中である出来事があって、その会社の社員が亡くなるという事件がありました。それは本当に様々なことを考えさせられる出来事でした。その子と出会えたことに意味を持たせたくて、いろんなことをつきつめた僕の中では結果NPOでした。
ーでは、NPOを運営してきて良いところと悪いところは何でしょうか?
悪いところというよりは困ることはありました。一番大変だったのは、設立当初の企業間での取引です。
日本の企業はNPOと取引をしたことがないのでわからない企業が圧倒的に多いです。その時はものすごく大変でした。ただ、よかったところはメディアの力でファンを増やせたことです。NPOということで、新聞やテレビが取り上げてくれました。また、NPOについてきてくれる人はお金ではなく理念に共感してくれる人が多いので、プライベートでも付き合いたいと思える友人や尊敬できる方との付き合いが増えました。
NPOとしてこれからも活動しようと決めている窪田さん。
最後に学生に伝えたいことを聞いてみたいと思います。
人生はジグゾーパズル
ー最後になりますが、学生に伝えたいことをお願いします!
私は3日坊主でもいいから動いていくべきだと思います。
迷わずに動けということですね。人生はジグゾーパズルだと思っていて、パズルはピースを集めないと完成しません。まずはピースを集めないと。30代になった時に20代でピースを集めてきた人とそうでない人は差が出てきます。わからないなりにピースを集めておくべきだと思います。ピースを集めて自分だけの絵を作ってください!
020限目 「窪田広宣」学
Presented by 今学びたい100人の学問
編集後記
今回NPO代表の窪田さんにお話を聞いてたくさんのことを学ぶことができました。
やはり、僕たち学生はNPOに対してボランティア団体というイメージがありますが、決してそのようなものではないことが分かりました。やはり、現場の方の意見を聞くことはとても大切ですね。留学で得れるものについても興味深い内容だったのでまとめて終わりたいと思います。
<留学を通して得れるもの>
・コミュニケーション力(語学力ではなく、非言語能力のこと)
・挫折力(失敗時にどのような行動をとるか、留学は失敗の連続です)
・決断力(自分で決めたことに責任をとる姿勢)
2015/11/13
九州大学 松口健司
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